
学校は問題を分かっているのに、なぜ何も変わらないのか ──保護者として見えた「動けない組織」の仕組み
「その点については、こちらも把握しています」
「お気持ちはよく分かります」
学校や教育委員会と話をしたことがある保護者なら、 一度は聞いたことがある言葉かもしれません。
問題は共有されている。 課題も認識されている。 それなのに、現場は何も変わらない。
この記事では、 「誰が悪いのか」を探すのではなく、 なぜ学校という組織は動けなくなってしまうのかを、 保護者の立場から整理してみます。
学校が動かないのは、無関心だからではない
まず知っておきたいのは、 学校が動かない理由の多くは、 やる気や誠意の問題ではないということです。
実際に話をしてみると、 校長先生や現場の先生が、 保護者の不安や課題をきちんと理解している場面は少なくありません。
それでも変わらない。 その背景には、個人ではどうにもできない「組織の仕組み」があります。
「前例」と「責任」が判断を止めてしまう
学校が動けなくなる最大の要因の一つが、 前例と責任です。
・前例がないことは決めにくい
・一度決めたことの責任は学校が負う
・問題が起きた場合、説明責任が発生する
この条件が重なると、 「新しく動くこと」よりも、 現状を維持することが一番安全になってしまいます。
結果として、 変えない理由は積み上がり、 変える理由は後回しにされていきます。
現場と決定権のあいだにある距離
もう一つ見逃せないのが、 意思決定までの距離です。
現場の先生 → 校長 → 教育委員会 → さらに上位機関 というように、 判断が下りるまでには複数の段階があります。
その過程で、
・現場の切実さが薄れる
・表現が無難になる
・緊急性が伝わりにくくなる
こうして、 「分かってはいるが、今すぐではない」 という状態が続いてしまいます。
保護者ができるのは、怒ることではない
では、保護者はどう関わればいいのでしょうか。
強い言葉で責めたり、 誰かを悪者にしてしまうと、 組織はさらに守りに入ります。
大切なのは、 感情ではなく、事実を整理して伝えることです。
・何が困っているのか
・どこに負担が集中しているのか
・子どもにどんな影響が出ているのか
こうした点を落ち着いて共有することで、 小さくても動き出すきっかけが生まれます。
「すぐ変わらない」前提で向き合う
学校という組織は、 企業のようなスピード感では動きません。
だからこそ、 一度で変わることを期待しすぎないことも大切です。
時間はかかる。 進まないこともある。 それでも、声を上げ続けることで、 少しずつ環境は変わっていきます。
まとめ|「動けない理由」を知ると見え方が変わる
学校が動かないのは、 無関心でも、無責任でもありません。
多くの場合、 動けない構造の中で判断しているだけです。
その仕組みを知ることで、 保護者としての関わり方も変わります。
感情をぶつけるのではなく、 仕組みを理解した上で向き合うこと。 それが、子どもたちの環境を少しずつ良くしていく近道なのかもしれません。
