部活の“送迎費問題”はなぜこじれるのか──結論はシンプル。「タダが一番うまくいく」理由

部活の“送迎費問題”はなぜこじれるのか──結論はシンプル。「タダが一番うまくいく」理由

部活やミニバスをやっていると、必ずと言っていいほど出てくるのが「送迎費」の問題です。
車を出す人・出さない人、乗せる側・乗せてもらう側、払う・払わない…。
ちょっとした一言から、保護者同士の空気がピリッとすることもあります。

でも、いろんなチームを見てきた中で、私の結論はとてもシンプルです。
送迎費は「ない方がいい」。タダが一番うまくいく。
今回は、その理由を、私自身の経験も交えながら整理してみたいと思います。


送迎費の「個別精算」と「みんなで徴収」、どちらも一長一短

まず、現場でよく見る送迎費のパターンは大きく2つです。

  • ① 個別に払うパターン
    車を出してくれた人に、その車に乗った家庭だけがガソリン代や高速代を渡すやり方。
  • ② みんなで集めて分配するパターン
    チーム全体から送迎費を集めて、車を出した人たちに後から分配するやり方。

一見すると、どちらも「公平」っぽく見えますが、実際にはそれぞれ問題を抱えています。

個別精算だと、「うちは乗ってないから払わない」「毎回同じ人だけ負担している」といった不満が出やすい。
逆にみんなで徴収するパターンだと、「金額の妥当性」「本当にその車が必要だったのか」などが見えづらく、納得感を得るのが難しくなります。

さらに、大会や練習試合が重なると、送迎費だけで“部費よりお金がかかる”月も普通にあり得ます。
家計への負担という意味でも、送迎費の扱いは実はかなり重たいテーマです。


「乗せる側」と「乗せてもらう側」の心理バトルが、こじれの原因

送迎費の話がこじれる一番の理由は、お金の問題というより“気持ち”の問題です。

車を出す側の本音は、こんな感じでしょう。

  • ガソリン代も高速代もかかっている
  • 子どもを乗せる責任もある
  • 時間も手間も使っている
  • だから、「少しは払ってほしい」という気持ちが出てくる

一方、乗せてもらう側はというと…。

  • 本当にありがたいと思っている
  • でも「いくら渡せばいいのか」がわからない
  • 安すぎても失礼な気がするし、高すぎても変な空気
  • 払わないと気まずいけど、毎回となると負担にも感じる

つまり、「当然もらうべき」という気持ちと、「払わないと申し訳ない」という気持ちが正面衝突しているのが送迎費問題の正体です。
ここに「規定」や「金額」が乗っかると、ますますややこしくなっていきます。


「どうせ応援に行く」前提で考えると、話はだいぶ変わってくる

ここで一度、冷静に立ち止まって考えてみたい視点があります。
それは、「どうせ多くの保護者は、試合や大会には応援に行く」という前提です。

試合の日、ほとんどの保護者は自分の子どもの応援に行きます。
つまり、送迎の有無に関係なく、

  • 自分の車で会場まで行く
  • ガソリン代はかかる
  • 高速代が必要なら、どのみち払う

そのうえで、「空いている座席に、他の子どもを乗せるかどうか」の話をしているわけです。
ガソリン代のほぼ全部が“送迎のせい”で増えているかのように扱うのは、少し話が飛びすぎていると私は感じます。

もちろん、遠征で車を減らして、「台数を減らしたぶんの実費をみんなで割る」という形なら、合理的だと思います。
ただ、そのためには乗り合わせの段取り・車の割り振り・当日の変更対応・お金の管理など、誰かがかなりの負担を背負うことになります。

正直に言えば、そこまで段取りする人の負担を考えると、理想論としては正しくても、現実的ではないというのが私の実感です。


事故のリスクと「送迎費」は、実は切り離して考えるべき

送迎の話になると、必ずと言っていいほど出てくるのが、「事故が起きたらどうするの?」という心配です。

これはとても大事なポイントですが、実は送迎費を払う・払わないとは別の問題です。
交通事故は、どれだけ気を付けていても完全にゼロにはできないリスクです。

現実的にできる対策は、ほぼ一つだけです。
「任意保険にきちんと加入しているかどうか」を確認すること。
対人・対物無制限、搭乗者傷害など、保険の範囲を整えておくことが一番の備えです。

送迎費を集めたからといって、安全性が上がるわけでも、責任問題が解決するわけでもありません。
お金と安全を結びつけて考えるのは、少し違うと私は思います。


ミニバスのコーチをしていたとき、私がもらっていた「謝礼金」

少し、私自身の話をさせてください。
以前、ミニバスのコーチをしていたとき、私は年間で15,000円ほどの「謝礼金(しゃれいきん)」をいただいていました。

そのチームは、週3〜4回の練習がありました。
平均して週3.5回とすると、年間52週で約182回の活動です。

単純計算すると、

15,000 ÷ 182 ≒ 1回あたり約82円

練習の往復、試合の帯同、荷物運搬、子どもたちの安全管理…。
それらを全部ひっくるめて、1回82円です。

あるとき、ある保護者から
「お世話もしているんだから、お金をもらうのは当然ですよね」
というニュアンスのことを言われたことがあります。

そのとき私は、静かにこう答えました。

「ちなみに、私がもらっているのは年間15,000円ですよ。
週3〜4回の練習で、1回あたり80円くらいです。」

それを聞いたその方は、黙りました。
“当然”と思っていたことが、数字にするとまったく割に合っていないという現実が見えたのだと思います。

この経験もあって、私は「送迎費を当然の権利のように扱う」考え方には、どうしても違和感が残ります。


「送迎費規定」をなくした方が、むしろトラブルは減るのではないか

いろんなチームに関わってきた中で、私が一番トラブルが少ないと感じたのは、
「送迎費を取らないチーム」でした。

お金が動かないので、

  • 誰が得か・損か、という発想にならない
  • 「払った」「払ってない」で揉めない
  • 係の人への負担(計算・集金・管理)もゼロ
  • 「お互い様」「団体競技」という空気が自然に保たれる

逆に、送迎費に細かい規定を設けているチームほど、文句や不満が出やすい印象があります。
高い・安いの問題ではなく、そもそも「料金表のような規定を作ること自体が、部活文化と合っていない」のではないかと感じています。


これは「部活・ミニバス」の話。クラブチームは別の世界

ここで一つ、はっきり分けておきたいことがあります。
私がここまで書いてきたのは、あくまで「学校の部活動」や「ミニバス」など、ボランティアに支えられた世界についてです。

クラブチームはまったく別物です。
クラブチームは、

  • 指導者が有償であることが多い
  • 施設利用料や運営費がかかる
  • 登録料・保険料・大会参加費も組み込まれている

つまり、「明確なコスト構造のあるサービス」として成り立っている世界です。
ここで送迎費がかかるのは、ある意味当然ですし、それはそれで一つの正しい形だと思います。

だから私は、部活やミニバスのような“ボランティアが土台の場所”に、クラブチーム的な料金制度を持ち込むことに無理があると感じています。


結論:「タダが一番うまくいく」世界も、たしかに存在する

ここまでいろいろ書いてきましたが、私の結論はとてもシンプルです。

送迎費は、ない方がいい。タダが一番うまくいく。

それは、「お互い様」「団体競技」「ボランティア」という部活・ミニバスの根っこにある価値観と、一番よく噛み合うからです。

もちろん、すべてのチームが同じやり方を採用できるわけではありません。
地域や事情によって、どうしても送迎費が必要なケースもあるでしょう。

それでも、「送迎費を取るのが当然」ではないことだけは、頭の片隅に置いておいてほしい。
そして、「規定をなくした方が、むしろ問題が減る世界もある」ということを、知っておいてもらえたら嬉しいです。


👉 AROLE 公式ブログ(最新記事はこちら) https://arolestudio.com/

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